学院長あいさつ
学院長挨拶 ~啓明館で実現したい「本当の教育」~
啓明館高等学院で目指す教育の姿
啓明館高等学院の学院長として、私たちがこの学院で実現したい教育について、現場の視点からお話しさせていただきます。
私たちが目指すのは、生徒一人ひとりが「自分らしく生きる力」を身につけることです。それは単に高校卒業資格を取得することではなく、社会に出た時に、どんな困難に直面しても「自分なりの答え」を見つけられる人になってもらうことです。
毎日の学校生活で大切にしたいこと
「今日はどんな気分?」から始まる一日
啓明館では、朝の最初の時間を「チェックイン」の時間にしています。今日の体調はどうか、何か心配事はないか、今日やってみたいことはあるか。講師が一人ひとりと短時間でも向き合い、その日その時の状態を把握してから学習を始めます。
調子が悪い日は無理をせず、できることから始める。体調が良い日は少し背伸びして新しいことに挑戦してみる。このような柔軟なアプローチで、生徒たちが自分自身との付き合い方を学んでいけるようサポートします。
「わからない」が言える安心感
従来の学校では、「わからない」と言うことが恥ずかしいことのように扱われがちです。しかし啓明館では、「わからない」は学習のスタートラインだと考えています。わからないことを素直に表現できる生徒こそ、本当の学びを得ることができます。
授業中に手を挙げて「今の説明、もう一度お願いします」と言える雰囲気。友達に「それ、どういう意味?」と気軽に聞ける関係性。講師も「実は私もよくわからないから、一緒に調べてみよう」と言える正直さ。そんな学習環境を作りたいと思っています。
一人ひとりの「得意」を見つける喜び
生徒たちを見ていると、それぞれが必ず何かしらの「光るもの」を持っています。人の気持ちを察する力、細かい作業への集中力、独特な発想力、コツコツと継続する力、人を笑わせる才能など、本当に多様です。
啓明館では、テストの点数や偏差値だけではなく、こうした一人ひとりの「得意」を発見し、それを伸ばしていくことに重点を置きます。数学が苦手でも、人の話を聞くのが上手なら、カウンセリングや相談業務の適性があるかもしれません。文章を書くのは苦手でも、手先が器用なら、ものづくりの分野で才能を発揮できるかもしれません。
失敗を「学びの素材」にする文化
失敗は成功の反対ではなく、成功への過程だと私たちは考えています。テストで思うような点数が取れなかった時、人間関係でうまくいかなかった時、体調を崩して予定通りに進まなかった時。そんな時こそ、一番大切な学びが得られるチャンスです。
「なぜうまくいかなかったのか」「次はどうすればいいか」「他にどんな方法があるか」。失敗から学ぶ姿勢を身につけることで、社会に出てからも困難を乗り越える力が育ちます。
具体的な教育実践
「生活スキル」を重視した学習
啓明館では、従来の教科学習に加えて、実際の生活で必要なスキルの習得にも力を入れます。お金の管理方法、健康管理の仕方、人とのコミュニケーション術、ストレスとの付き合い方、時間の使い方など、大人になって本当に必要な知識と技術を実践的に学びます。
「自分プロジェクト」で主体性を育む
各生徒が自分の興味関心に基づいて、一年間かけて取り組む「自分プロジェクト」を設定します。地域の歴史調査、手作り石鹸の開発、高齢者との交流企画、動物保護活動への参加など、テーマは自由です。大切なのは、自分で計画を立て、実行し、振り返ることで、主体的に学ぶ力を身につけることです。
「つながり学習」で社会性を培う
一人ひとりの個性を大切にしながらも、他者とのつながりの中で学ぶ機会も大切にします。年齢の異なる生徒同士のペア学習、地域の方々との協働プロジェクト、オンラインでの他地域の学校との交流など、様々な人とのつながりを通じて、多様な価値観に触れ、コミュニケーション能力を育てます。
「振り返り」を習慣化する
毎日の終わりに、その日の学びや気づきを振り返る時間を設けます。「今日できるようになったこと」「新しく発見したこと」「明日挑戦してみたいこと」を記録することで、自分の成長を実感し、次への意欲につなげます。
保護者の皆様との連携
定期的な「三者面談」
生徒、保護者、講師の三者で定期的に面談を行い、学習の進捗や生活の様子について共有します。問題が起きてから話し合うのではなく、日頃から連携を取ることで、生徒にとって最適な支援を提供します。
家庭での学習サポート
家庭でも無理なく続けられる学習習慣の提案や、親子のコミュニケーションを深めるためのアドバイスなど、家庭での教育もサポートします。私たちと家庭が同じ方向を向いて支援することで、生徒の成長がより確実になります。
卒業後を見据えた進路指導
「自分に合った道」を一緒に探す
大学進学、専門学校、就職、起業など、進路の選択肢は多様です。世間一般の「良い」とされる進路ではなく、その生徒にとって最も適した道を一緒に探します。時には、一般的ではない進路を選ぶこともあるでしょう。それでも、本人が納得し、やりがいを感じられる道であれば、全力でサポートします。
「働く」ことの意味を考える
単に「就職すること」が目標ではなく、「どのような形で社会に貢献したいか」「どのような働き方が自分に合っているか」を深く考える機会を提供します。インターンシップや職場見学、様々な職業の方との対話を通じて、働くことの多様性と意義について学びます。
地域とのつながりを大切に
「地域の一員」としての意識
啓明館は丹波市という地域に根ざした通信制サポート校です。地域の課題を知り、地域の良さを発見し、地域に貢献できる人材を育てることも重要な使命だと考えています。地域のお祭りへの参加、高齢者施設での交流、地域企業での職業体験など、様々な活動を通じて地域とのつながりを深めます。
「発信する力」を育てる
学んだことや体験したことを、文章、動画、プレゼンテーションなど様々な方法で発信する力を育てます。自分の考えを他者に伝えることで、思考が整理され、自信もついてきます。また、地域や社会に向けて情報発信することで、啓明館の学びを広く知ってもらう機会にもなります。
最後に~私たちの約束~
啓明館高等学院では、どんな生徒も一人として諦めません。時間がかかっても、回り道をしても、その生徒なりのペースで成長していけるよう、根気強く寄り添います。
「自分は何をやってもだめだ」と思っている生徒に、「あなたにしかできないことがある」ことを伝えたい。「将来が不安だ」と感じている生徒に、「一歩ずつ進めば必ず道は開ける」ことを示したい。「自分は迷惑をかけている」と思っている生徒に、「あなたがいることで周りの人も成長できる」ことを実感してもらいたい。
私たちは、生徒たちにとって「信頼できる大人であり子ども」の一人になりたいと思っています。時には厳しく、時には優しく、常に生徒たちの可能性を信じて、共に歩んでいきます。
啓明館高等学院で過ごす時間が、生徒たちにとって人生の宝物となるよう、私たちは全力で取り組んでまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

